研究分担者 |
笹本 明義 東邦大学, 医学部(小児科学), 助手 (20187149)
飯倉 洋治 国立小児病院, 小児医療研究センター・免疫アレルギー研究室, 部長
奥村 研三 東邦大学, 医学部(小児科学), 助手 (30120249)
多胡 博雄 東邦大学, 医学部(小児科学), 助手 (90104223)
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研究概要 |
〔緒言〕近年急激な増加を示している小児の気管支喘息の治療は、これまでの発症後の知療だけではなく発症予防が必要となってきた。アレルギー疾患の発症には種々の遺伝因子と環境因子が強くかかわっており、これらの遺伝的因子を規定する遺伝子がHLA領域に存在すると考えられるのでその連鎖について検討した。 〔対象と方法〕アトピー性の気管支喘息児とその兄弟および両親について4家系18人とアトピー性皮膚炎児も同様に4家系18人の家族調査を行なった(二卵性双生児を3家系ふくむ)。全員の血清IgE、特異的IgE抗体(D.P.,D.F.,HD,スギ)、ダニ抗原による皮膚テストを行なった。HLA抗原の検索はTERASAKIのABC抗原用プレートとDR抗原用プレートを使用しA抗原17抗原,B抗原32抗原,C抗原5抗原,DR抗原12抗原,DQ抗原3抗原の検索をした。 〔結果〕8家族36人中、気管支喘息6名,アトピー性皮膚炎9名,アレルギー性鼻炎5名,アレルギー性結膜炎1名であった。IgE(RIST)250lU/ml以上のものは12名,IgE(RAST)でダニ抗原に陽性のものは14名,スギ抗原に陽性のものは8名,ダニ抗原(10万倍希釈)による皮膚テストで陽性のものは15名であった。 〔考察とまとめ〕今回の研究では特定のHLA抗原とアレルギー性疾患,抗原感受性との間に連鎖または連関は認められなかった。しかし、双生児を持つ3家系において同一のハプロタイプを持つ2兄弟では、共にアレルギー性疾患があり、抗原感受性も共に有していた。アレルギー疾患の遺伝因子を検討する場合抗原感作が問題になり環境因子を同じにしなくてはならない面がある。しかし多くのアレルギー疾患の研究はこの点の考慮がなされていないので、今後も双生児における検討を続けてゆく。
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