研究課題/領域番号 |
61480487
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
伊藤 正敏 東北大, 抗酸菌病研究所, 講師 (00125501)
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研究分担者 |
大類 洋 東北大学, 農学部, 助教授 (20100050)
松澤 大樹 東北大学, 抗酸菌病研究所放射線医学研究部門, 教授 (10006108)
福田 寛 東北大学, サイクロトロンラジオアイソトープセンター・測定器研究部, 助手 (30125645)
多田 雅夫 東北大学, 抗酸菌病研究所薬理学研究部門, 助教授 (10006083)
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キーワード | ポジトロン断層撮影 / 核医学 / 画像診断 / 肝疾患 / 糖代謝 |
研究概要 |
ポジトロン標織化合物である【^(18)F】-デオキシガラクトース・(以下【^(18)F】-GAL)の合成法が、がん特別研究多田班により確立されたことを受け、本年度は、その検査薬剤としての安全性を検討した後、臨床応用を開始した。 1.【^(18)F】-GALの細胞内代謝:【^(18)F】-GALを静脈内投与すると、肝臓に選択的に取り込まれ、実験で観察した3時間の範囲では、そのままトラップされた。その時点での、【^(18)F】の肝細胞内代謝物を同定した所、【^(18)F】-GAL-6-燐酸、【^(18)F】-GAL-6-UDPであった。つまり、【^(18)F】-GALは、肝に於ける代謝の初期段階でトラップされることが判明した。このことは、一般的糖代謝定量剤である。【^(18)F】-デオキシグルコース(以下【^(18)F】-DG)に相似し、【^(18)F】-GALも同様に細胞の糖代謝の定量的指標となりうることを意味した。【^(18)F】-DGが肝に集積しないことから、【^(18)F】-GALが現時点での唯一の肝糖代謝の定量的指標薬剤と言うことになる。しかし、【^(18)F】-GALの細胞内代謝物が、2種であったことは、【^(18)F】-DGで使われる定量もデルを修正する必要がる。【^(18)F】-GALの細胞毒性に関しては、検査時の使用量の約【10^5】倍の体重当たり投与量にてもラットに何の組織学的変化をもたらさなかったので、人体への診断用投与は、問題ないと判断した。 2.【^(18)F】-GALによる人体肝イメージング:【^(18)F】-GALの肝への選択的集積性を考慮し人体への投与量を2mCiとした。正常肝への集積は、予想どうり極めて高く、時間的に集積型で、かつびまん性であった。それに対して肝硬変では、集積が低下し、肝内は斑点状で再生肝を反映する形態で両者は鑑別可能であった。 次年度に於いて、肝障害の程度と集積との関係、ヘパトーマ合併例等を検討する予定である。
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