研究概要 |
脳血管攣縮研究の目的で1.破裂脳動脈痛急性期手術患者の髄液中LTC_4,D_4を経時的に測定した。controlとして脳腫瘍術後患者及び髄膜炎患者の髄液中LTC_4、D_4を測定した。測定法は森田らの方法でSep-Pale C_<18>カラムを用いてエタノール抽出後High Performance Liquid Chromatoguaphy(HPLC)にて同定定量した。 2.培養平滑筋細胞(ラビット脳底動脈由来)のLTGに対する収縮能及び細胞にO_<xy>Hbを作用させた時のLTC_4,D_4産生能を検索した。 [結果]1.破裂脳動脈によるクモ膜下出血に伴う脳血管攣縮が臨床的に軽症であった症例のLTC_4は2ng/ml以下。中等症、重症例では4ng/ml以上であり、脳血管攣縮の臨床経過に先行して上昇し、最高18.97ng/mlに至る。いずれも2週間の経過で低値に復する。LTD_4は脳血管攣縮の臨床症候を示した3例にのみ検出したが、全体として変動は少なく最高値は4.76ng/ml 2.10^<-4>〜10ng/mlのLTC_4による培養平滑筋細胞の収縮はS字状の用量反応曲線を示し、10ng/mlのLTC_4に対する細胞面積減少率は33±8%。LTC_410^<-1>ng/mlは10^<-2>M/ml Norepinegohrineと同程度の収縮率を示した。培養平滑筋細胞にOxyHbを添加し8日目まで経時的に培養液中LTを測定したが、Contool,OxyHb投与群ともにLTC_4,D_4は検出されなかった。 [結論]脳血管攣縮と比例して検出されたのはLTC_4であり、LTD_4は髄膜炎症例にのみ検出された。この事はLTC_4が血管収縮に、LTD_4が血管透過性に関与するという従来の報告と一致する。平滑筋細胞はLTC┣_4┫にたいして強い収縮を示すが細胞自体にLT産生能はない。LTの放出源は1.クモ膜下出血による一次的脳損傷や虚血を引金にcortial neuronsやhypathalamusから放出される。 2.クモ膜下出血髄液中のneutoophil,macrophape,mast cellから放出される。以上の2つが考えられる。
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