研究概要 |
本研究を遂行する上で最も重要な超音波・超高圧ガス噴霧装置の試作に成功している。現在、この装置を用いて、鉄,コバルト,ニッケルなどの遷移金属系合金の微細な球状の非手衡相微粉末を高効率で得るための噴霧条件,得られた粉末の形状や粒度分布,構造,組織およびこれらの結果におよぼす噴霧ガスの種類(ヘリウム,アルゴン,窒素)の影響などを調べている。その結果、1.最大約2kgの合金微粉末を約1分の短時間内で作製できる高効率性を有していること、2.鉄,コバルト,ニッケルおよびアルミニウム系合金において約40μm以下の粒径をもつ真球状の微粉末が約70〜90%の高率で得られること、および、3.約25〜40μm以下の粉末は適当な半金属量を含む時、いずれの合金系においてもアモルファス単相構造を有することなどを見出した。さらに、これらのアモルファス相の形成の臨界粒径はアルゴン窒素ガスに比べ、ヘリウムガスにおいて著しく大きく(約2倍以上)なることも明らかになっている。アモルファス合金粉末の構造緩和量,結晶化温度および結晶化の熱量などの熱的安定性や硬さは、厚さ約30μmのリボン状アモルファス合金における値とほぼ同じであり、高圧ガス噴霧法による冷却が回転体接触による冷却と同様に【10^4】〜【10^5】k/sの高い冷却速度を有するものであることが判明した。 これらのアモルファス合金粉末を400〜1100℃の温度域で加圧焼結することにより、広い温度域で密度がほぼ100%の緻密な塊状材を得ることができ、その塊状材がきわめて高い耐熱硬さと良好な耐磨耗性を有することを見出している。
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