| 研究概要 |
昭和62年度は, 次の二点をメインテーマとして研究を行い,得られた新たな知見と成果は以下の通りである.
1, 殺菌工程が不要な純粋培養法の開発 61年度に開発した油溶性の抗微生物性物質に対する防御機能を有するバイオリアクターを用いて,酵母によるアルコール醗酵と同様,細菌の乳酸菌による乳酸醗酵を行った. 植物油を乳化混入したバイオリアクター(アルギン酸ゲルビーズ)を用い,殺菌工程を経ていない培地を含むフラスコに,油溶性の広範囲抗菌スペクトルを有する食品保存料,パラオキシ安息香酸ブチル(POBB)0.1%を添加し,繰り返えし回分培養を行った. その結果,長期間の繰り返えし回分培養を正常に,しかも雑菌汚染が全くなしに,行えることが明らかとなった.
2, 殺菌および除菌工程が不要な純粋培養法の開発 殺菌および除菌工程を省いたジャーファーメンター培養にて,0.1%POBB存在下で,本バイオリアクターが長期間雑菌汚染なしに,しかも,正常な純粋培養が行えるかどうかを,酵母によるアルコール醗酵と,乳酸菌による乳酸発酵を対象として,連続培養を行った. その結果,前者では,希釈率0,1(hr^<-1>)の条件で60時間程度,後者では,希釈率0,035(hr^<-1>)で70時間程度,正常にアルコールおよび乳酸を生産することが明らかになり,しかもその間,雑菌汚染が全く見られず,純粋培養を成功することが出来た.
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