研究概要 |
古代蛋白質は海水中でアミノ酸が会合しこれが日光や金属イオンが触媒となって共有結合して生じたと考えられている. このようなことが有機溶媒中のアミノ酸誘導体に付いても起こると予想して, 教種類のNーカルボキシーαーアミノ酸能水物(NCA)を有機溶媒中で多元共重合しポリペプチドを合成しその性質を調べた. 5元共重合体即ちOベンジルグルタメート, Zオルニチン, ロイシン, フェニルアラニン, Zチロシンから成るものは硬く脆かったが, チロシンの代わりにプロリンを入れると, されらの溶液粘度が殆ど同じであるにも拘らず強度9.3, ヤング率274kg/mm^2透明度90と汎用性プラスチックのそれに相当するものが得られた. この共重合体の溶液中の2次構造とこれから成形したフィルムの強度その他の性質との関係を調べるため, 旋光分散計を用いてモファット値b_oを求めた結果-290であった. この値は-630をヘリックス100%とすると, 46%に相当する. このフィルムの2次構造もほぼ溶液中と同じであった. また, Zリジン, ベンジルアスパテート, アラニン, フェニルアラニン, ロイシン, の五元共重合体は, 強度, ヤング率とも前記の共重合体フィルムとほぼ同じであるが, 溶液のb_o値-630とヘリックス100%, フィルムも同じであった. その他上記の共重合体の構成アミノ酸の成分比を換えた5元, 或いは6元共重合体を10数種合成したが殆どのものは非プロトン性有機溶媒に対する溶解性が極めて良く成形フィルムの機械的性質も極めて優れていた. このような多元共同合体はその重縮合機構から, 構成アミノ酸の一次配列の異るポリペプチドの混合物であることも考えられるので. 高速液体クロマトでゲルカラムを用い分別を試みた. 溶離液にジクロルエタンを使用した例は見当たらないためクロロホルム溶離液用の高分子分別用ゲラム(分子量10^42×10^4用)を使用した. その結果ピーク1本であったがさらに検討を要する.
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