ポリペプチドの合成法については数多くの報告があり合成された物の種類も極めて多い。それらは大きく二分される。則ちアミノ酸残基を一つ一つ結合させて行く段階的合成法と高分子合成反応の一つである重縮合反応とであるが何れも短所がある。アミノ酸残基数が多くなると反応行程が莫大なものとなり、反応収率が著しく低いものとなる。従って合成された物を他の研究に供することは不可能に近い。後者は収率が高く高分子量の物を大量生産することは出来るが生成物のアミノ酸配列を規制することは困難で生理活性のような高い機能性を有するポリペプチドは得られない。本研究のは目的は重縮合反応を利用してアミノ酸配列を規制されたポリペプチドをすることである。 (1)古代海水中でアミノ酸が規則的に会合し、それが溶存する金属イオンや太陽光線の触媒作用によって共有結合して蛋白質が生じたと云われている。Nーカルボキシアミノ酸無水物(NCA)も有機溶媒中で規則的に会合するものと予想し数種のNCAの多元重縮合を行い規則的にアミノ酸残基の配列した高分子量ポリペプチドの合成を試みた。得られたものを高速液体クロマトグラフで分別を行った結果、均一性が高いこと、また、市販のポリマーよりも優れた物理的性質のフィルムに成形出来ることも分かった。 (2)トリプトファン(Trp)はインドール核を側鎖に持ち、殆どの蛋白質に存在し、少量ではあるが重要な機能を果たしている。TrpNCAを高純度に合成し他のNCAと共重合を行った。結果、アラニン(Ala)との共重合体は水溶性であった。フェニルアラニン(Phe)とAla共重合体は各種溶媒に難溶であるのと対称的である。 (3)Pheと各種アミノ酸のコポリペプチドの合成も行った。 (4)合成した試料の固体及び溶液中に二次構造を赤外、ORD、CDスペクトルにより調べた
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