研究概要 |
水溶性カルボジイミドを用いてカチオン性ポリリシンの低級同族体であるポリオルニチン、ポリーα,βージアミノプロピオン酸などにアゾ芳香族色素を結合させ側鎖鎖長の異なるカチオン性アゾ芳香族ポリアミノ酸を合成した。また、主鎖の化学構造がアミド結合であることの特徴を把握するためにカチオン性のビニルポリマー(ポリビニルアミン,ポリアリルアミン)ー色素系の光化学を検討した。光化学は紫外光および可視光を照射した時の光応答挙動は電子・円偏充二色性(CD)・螢光スペクトルから検討し、光溶解性の変化はアゾ基と溶媒の双極子能率に基づく考察を行った。 ほぼ定量的にアゾ芳香族色素を含むポリオルニチン、ポリーα,βージアミノプロピオン酸、ポリアリルアミンなどの溶液に紫外光および可視光を照射するとアゾ発色団のトランス【double half arrows】シス異性化にともない電子スペクトルが可逆的に変化する。このアゾ基の異性化によりCDスペクトルも可逆的に変化する。紫外部のCDスペクトルの形状、強度の解析からポリリシン同族体の側鎖の長いポリアミノ酸ではαーヘリックス構造を、短いポリアミノ酸はβー構造をとることが判った。特に、βー構造をとるアゾ芳香族ポリペプチドの光応答挙動は特徴的であり、二段階光応答を要する光センサーの系としての興味を引く。光溶解性変化に関してはアミノ酸側鎖の長短、あるいはアミド、ビニル骨格化学構造は本質的には違いとして反映されない結果〓〓〓 また、一連の研究成果を生物系へ発展させるために植物種子フィトクローム研究のための種子の入手、実験装置の組立てを行ない、ペプチド合成と光物性の両面から継続してタンパク質光化学を研究している。 研究成果の一部を国内の学会と口頭で、また国内外の専門雑誌に論文として発表した(投稿中2論文)。
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