研究概要 |
研究実施計画の主要な点は、(1)ツォンカパの主著『了義未了義論"善説心髄"』(タンゲーレクシェーニンポ)の後編「中観編」の前章「スヴァータントリカ」にもとずく論述のテキスト校訂と共に、それの文献学的解読研究ならびに思想的解明を推進すること、(2)本テキストの異本及び注釈書類など関連資料の収集すること、(3)チベット語難解語,用語のカード化,検討を進めること,にあった。それらの計画にそって取りくんできたのであるが、それらの研究推進のために、より正確を期するためにチベット出身の学僧との討議吟味を適宣になしてきた。(1)について、その前半の部分は「ツォンカパの解明する清弁の中観思想」(『大谷大学真宗総合研究所 研究所紀要』第3号所収)において発表したものにもとづき、更なる吟味検討を加えると共に、後半の部分は、本研究の成果の一端として論文名「ツォンカパの解明するシャーンタラクシタの中観思想」のもとに発表した。それらによって、ツォンカパの解明するスヴァータントリカ中観仏教思想が明確になってきたと思われる。次に、残された課題として、これまでの研究を再吟味しつつ、ツォンカパの用いたインド仏教資料群について、ツォンカパの解明が妥当であるかどうか、相違する思想の発展形態があるとするならば、どのような点にあるか吟味されなくてはならないと思われる。併せて、テキスト校訂の完了も述べるまでもない。(2)、(3)の課題については、これまでの推進してきたことをもふまえて、いずれ何らかの形で発表したい。」
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