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1986 年度 実績報告書

『伝光録』の成立に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 61510015
研究機関駒沢女子短期大学

研究代表者

東 隆真  駒沢女短, その他, 教授 (40123004)

キーワード曹洞宗太祖 / 総持寺 / 宗統史 / 日本曹洞宗学思想史 / 曹洞宗典籍論
研究概要

伝光録は、瑩山禅師の代表的語録である。
瑩山禅師は、わが国鎌倉時代の後期から室町時代初頭にかけて登場した禅僧で、日本曹洞宗を開いた道元禅師から数えて第四代の祖師である。瑩山禅師は、道元禅師が中国へ留学して学びえた禅を正確に継承し飛躍的に発展させて日本曹洞宗の思想的、教団的拡充の原動力となった。実に瑩山禅師は、日本仏教史上、浄土真宗中興の祖・蓮如上人にも比すべき曹洞宗の大成者である。瑩山禅師の研究は少くとも日本曹洞宗を通じてみた日本仏教の研究に直結するものである。しかし、従来、道元禅師の名前にかくれて、ややもすれば瑩山禅師の存在は表面にあらわれないうらみがあった。また、瑩山禅師の思想的研究も、その代表的語録である伝光録の成立に関する真偽問題が学界で取沙汰されており、一向に進まなかった。
そこで、本研究は、全国に伝光録写本の存在を確認することから開始して、およそ三十本を確認しえた。そして、二十本の本文内容を点検した。次に、諸写本相互の間にみられる異同の重要な点を対比し検討した。次に、写本の成立の歴史的伝播を整理した。このような写本尊重の立場から、伝光録の成立に関する従来の諸研究を吟味した。これによって判明したことは、従来の成立に関する諸研究は木版本(江戸時代後期開板)を唯一の素材としたものであって、写本をほとんど実見実証したものではないことであった。本研究は、写本(木版本以前の成立)を詳細に検討し、従来の諸研究を批判的見地から再検討を加えた結果、いわゆる偽撰説はほとんど採るべき点がないことを明らかになしえた。しかしながら、原本が発見されていない現段階においては真撰説を強く打ち出すことはちゅうちょされるのである。少くとも、原本の新発見が確認されるまでは、いずれかを簡単に決めることはさけなければならぬことも本研究において明らかである。

  • 研究成果

    (8件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (8件)

  • [文献書誌] 東隆真: 駒沢女子短期大学研究紀要. 13. 11-26 (1979)

  • [文献書誌] 東隆真: 駒沢女子短期大学研究紀要. 15. 9-19 (1981)

  • [文献書誌] 東隆真: 駒沢女子短期大学研究紀要. 16. 1-15 (1983)

  • [文献書誌] 東隆真: 駒沢女子短期大学研究紀要. 17. 1-14 (1984)

  • [文献書誌] 東隆真: 駒沢女子短期大学研究紀要. 19. 1-11 (1985)

  • [文献書誌] 東隆真: 駒沢女子短期大学研究紀要. 20. 1-18 (1986)

  • [文献書誌] 東隆真: "乾坤院本伝光録" 隣人社, 145 (1970)

  • [文献書誌] 東隆真: "洞谷記に学ぶ-日本初期曹洞宗僧団の胎動-" 曹洞宗宗務庁, 334 (1982)

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公開日: 1988-11-10   更新日: 2016-04-21  

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