研究概要 |
本年度は神奈川県立博物館所蔵の浮世絵版画「丹波コレクション 6029点のうち幕末・明治期の浮世絵版画の絵師と作品を次の項目について、その基礎的なデーターをdBASE【II】によってコンピューターに入力作業を開始した。『丹波コレクション目録』D、後期浮世絵歌川派末葉までのうち国周の作品を中心に49点,E、歌川国芳及びその門下のうち芳年の作品中心に260点,G歌川広重(初代の門下)のうち三代広重の作品中心に90点,J、小林清親・井上安治及びその系統245点,L、明治東京文明開花浮世絵45点,M、東京浮世絵38点,Q、日本歴史画明治版33点,R、明治歴史絵678点,S、横浜文化絵のうち横浜浮世絵416点,など以上1917点。それに加えて、今回調査を実施した天理・奈良・広島方面のうち天理参考館の山本コレクション(交通関係の錦絵が主体)169点,奈良県立美術館の吉川観方コレクションから177点,神戸市立博物館蔵品130点,広島県立義術館蔵品20点,静岡市の池田哲二コレクション30点など(三代広重の作品中心),さらに神奈川県博蔵品以外の横浜浮世絵(日本通運株式会社コレクションなど代表とする)425点を合わせて951点のデータを加え、絵師名,作品名,制作年代,形態別(錦絵の大判、中判、四ツ切など),寸法,数量,版元,各コレクション別分類資料番号、画題などの順に入力した。この主として丹波コレクションのデーターを基礎に今回調査した以外の外部コレクションのデーターをさらに加えることによって、絵師の作品の作画傾向や画題の分折,絵師別,年代別の作画数などが統計的に得られるとともに映像による記録を加えれば、視覚的に分折作業が容易に進められよう。さらに今後の課題としてデーター通信による情報交換を積極的に進めデーターの集積、分折をより一層迅速に行い、この幕末・明治期の浮世絵版画の全体的な作品数と作画傾向を明確にしたい。
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