研究分担者 |
中村 圭佐 福井大学, 教育学部, 教授 (50020128)
三橋 美典 福井大学, 教育学部, 助教授 (20157556)
梅澤 章男 福井大学, 教育学部, 助教授 (70151925)
清水 史郎 福井大学, 教育学部, 助教授 (30020134)
高橋 裕行 福井大学, 保健管理センター, 助教授 (40126636)
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研究概要 |
本研究は, 精神薄弱児の認知過程および遂行過程の統御について研究することを目的とし, 養護学校に在籍する児童・生徒を主とした単純精薄, ダウン症候群, セッケル症候群, 水頭症, 小頭症, モヤモヤ病, 自閉的傾向と精神薄弱, てんかんと精神薄弱の合併症など26名(うち男子16名, 女子10名, 年令は12才〜18才)を被験対象として実験を行なったものである. 実験は, (1)視覚図形に対する認知および課題遂行の問題, (2)バイオフィードバック法による精神活動時における認知過程・遂行過程の検討, (3)精神薄弱児の終夜睡眠過程における脳内機構の検討などを行なった. 今年度は, 特に認知過程・遂行過程をバイオフィードバック法によって検討することを目的として, 上記の対象児から11名を選び, フィードバック条件下における選択反応課題を行なわせた. 選択反応課題は, 2文字の片仮名で構成された有意味語16語から標的刺激1語を選ぶ運動反応を行うもので, 言語をブラウン管により視覚的に標示する課題Aとスピーカーにより聴覚的に提示する課題Bを設定した. 頭皮上9部位から導出した脳波にα波が多く出現している場合にフィードバック信号を提示するαS条件とα波が出現しない場合に提示するNαS条件下でそれぞれ反応課題を行なわせて, その時の脳波変化をパワスペクトル分析によって検討した. さらに誘発反応を記録して検討した. その結果, 課題解決を行なっている時期の背景脳波の様相は明らかにα波の出現が減少して脳の活性化が示唆され, 精神薄弱児も健常者と同様のメカニズムによることは疑いなかった. しかし, 個人差を反映していると考えられるαS条件とNαS条件下における反応には違いがみられず, また脳波の周波数分析の積分値の変動については一定の変動を示すものと著しい変動を示すものなどがあって個人差が顕著であった.
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