研究概要 |
本研究の目的は, 学齢前児童の保育環境を把握し, その上で(1)認可および無認可の保育施設における, いわゆる「保育に欠けない」子供たちの実態を把握すること, (2)無認可保育施設が果たしている社会的機能を明らかにすること. (3)保育政策の新しい課題を発見すること, 等にある. (1)について. 認可および無認可保育施設には「保育に欠けない」子供たちが一定の割合で存在するが, その比率は無認可保育施設の方が高い. こうした「保育に欠けない」子供たちの通園理由には, 主として教育機能をあげるものが多い. (2)について. 無認可保育施設が果たしている社会的機能をあげてみると, (a)「保育に欠ける」子供たちを保育している, (b)延長保育, 夜間保育, 0歳児保育等認可保育所では充分な対応がなされていない保育需要の一端を満たしている. (c)「保育に欠けない」子供たちであっても, しつけ・教育等の観点から集団保育させたいとする保護者の意向をもとに, そうした子供たちを保育している, 等となろう. (3)について. 無認可保育施設利用者の改善希望の上位に「保育内容・教育内容の充実」「通園の便・安全の確保」が回答されていたように, 職員・設備内容等到底認可保育所におよぶものではない. 従って一部に地域的な偏在はあるものの, いわゆる認可保育所の整備がほぼ一定水準に達している現在, これからの保育所, あるいは保育政策の新しい課題としては, 質の充実, すなわち保育需要の多様化傾向に積極的に取り組むことが必要となろう. これに関連し, 堀勝洋は, 保育政策のとりうる方向のひとつとして, 措置入所から契約入所への転換を主張している. 一考にあたいすると思われる. 詳細については『報告書』を参照のこと.
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