研究概要 |
1.理論と実践の媒介項である教育的タクトについて、教育思想=問題史的に考察した。 コメニウス,ペスタロッチからディースターヴェークに至る「人間を教える」ことの技術思想の発展過程を原理的にあとづけた。さらに、近代教授学(コメニウス,ペスタロッチ,ヘルバルト,ヴィルマン)における教育技術論の成立過程を問題史的に考察し、今日の授業論の課題を明らかにした。2.各教科の具体的な授業実践の分析を通して、教育的タクト形成の基本原則を理論的・実践的に明らかにした。そのさい、教師と子どもの「呼応のドラマ」を成立させる指導案の構想とそれに基づく授業展開のタクトに関する指針を解明した。 文芸教材については、子どもに「呼びかける」指導案とそれに基づく以下のタクトについて明らかにした。(1)視点を限定する発問,(2)子どもの答から始める,(3)対立点を明確にする,(4)思考の転換を迫るゆさぶり社会科の授業については、次の教授技術について明らかにした。(1)学習主体を育てる「ねうちづけ」,(2)納得をつくりだす「語りかけ」,(3)思考矛盾をつくりだす「問いかけ」,(4)対立・分化を激化させる「ゆさぶり」,(5)共感・統一をつくりだす「からみ合い」 算数の授業については、班話し合いと集団思考の組織化という観点から、(1)班話し合い導入の原則,(2)「接続語」でからみ合いをつくる応答的タクトについて明らかにした。 理科の授業展開におけるタクトとして、次の原則を明らかにした。(1)「既知」と「未知」の間を問う,(2)「つまづき」を顕在化させて対立・分化を組織する,(3)班話し合いで個性的な意見をひきだす。
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