研究概要 |
1.フランス政府給費留学中(1977-79)や、この度の科学研究費補助金によって収集したフランスの教育制度・進路指導に関する資料、生徒の進路の勧告を行う「教授委員会」や「学級委員会」に関する資料などについて、詳細な内容の分析を行った。その結果つぎのようなことを明らかにした。 (1)進路指導の理念を確立したランジュヴァン・ワロン教育改革案について、その議事録の分析を行い、進路指導の理念が、教育学的ばかりでなく、広く社会・経済的な観点からも重要な妥当性を持っていることを明らかにした。この結果は、フランス教育学会大会(62年11月)において発表した。 (2)進路指導によって、生徒がどのような進路を進んで行くかを具体的に図式化して明らかにした。 (3)「教授委員会」,「学級委員会」の構成,構成員の役割,生徒の進路に関する討議,審議などについて、その実態の一部を詳細に解明した。 (4)進路指導は国の教育政策や社会・経済政策と無関係ではありえなく、その観点から、進路指導と学区制度(「学校設置・配置図」)との関係について分析しようとし、その中間的成果をまとめ大学紀要に投稿した。 (4)進路指導の理念は十分に認められているが、その理想的な実現は、現実の社会・経済・教育状況の下できわめて困難な状況にあり、それゆえ、実現していくための具体的な政策努力と制度的整備が必要であることを究明した。この理念と現実の乖離については、論文にまとめ学会紀要に投稿した。 2.フランスの進路指導について、さらに具体的な資料および統計資料の収集とその分析につとめ、かなりのものを収集し、分析することができた。 3.わが国の進路指導については、実態と問題点の把握に努めた。 4.進路指導の基礎となる適性・能力について、非知的な能力を含め、日仏比較を通して、多面的に考察した。
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