| 研究概要 |
海人族(海士・海女)の系譜に関する文化人類的な調査及び研究をおこなうために、沖縄県の本島及び離島の調査をはじめ、鹿児島県の奄美大島,大分県の臼杵市等のフィルドワークをおこなった。
調査の内容は、伝統的な漁撈用具のうち、裸潜水漁にかかわる採貝,採藻,捕魚用具に関する基礎的調査を実施し、あわせて、海神,漁神信仰等の調査、伝統漁撈具にかかわりの深い小型木造漁船の形態、製作技術等についての調査も実施した。
その結果、南島的な流れをもつ海人族の伝統的な文化要素を明確にすることができたとともに、海人族の属性ともいえる漁撈活動の具体的な内容や航海術に関する民俗知識などが明らかになったばかりか、海人族特有の信仰についても明らかにすることができた。
また、今回の調査,研究をとおして明確になってきたことは、海人族が裸潜水漁だけでなく磯漁(覗突漁をはじめとする沿岸漁撈活動)と深く結びつきをもっていること、農耕生活の比重が予想以上に大きいことなどが浮かびあがり、それを具体的に把握することができたことは大きな成果であった。
詳細な点については、継続的な研究の成果とあわせて学会に発表する予定である。
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