研究分担者 |
青木 和子 学校法人河合塾, 講師
山内 敏輝 京都市立堀川高等学校, 定時制, 教諭
松田 光次 京都市立伏見工業高等学校, 定時制, 教諭
藤原 有仁 福井市北陸高等学校, 教諭
小野 勝年 龍谷大学, 文学部, 講師
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研究概要 |
1.史料の収集・整理長安城を東街(左街万年県)と西街(右街長安県)に大別し、各坊ごとに分類して十字街の区分に従って各寺院の位置を地理的に確認。各寺院について、地誌,僧伝,類書,釈書,目録,金石,全集,正史,筆記,行記類等の120余件に及ぶ史料を採録した。究明の寺院は、宮城・城外・坊名不明・会昌廃仏関係のものも加えて160余カ寺に及ぶ。 2.史料の研究各寺院ごとに「両京新記」「長安志」「寺塔記」「歴代名画記」による史料の解読・校注を基本とし、高僧や有力者についての史料に加え、詩文集や民衆に関わるもの、尼僧・尼寺について、渡来僧・求法僧の活動など、従来ほとんど論及されることのなかった問題や、各寺院に関わる従来の研究論文の紹介・検討及び考古学的発堀調査報告についても留意した。 3.今後の課題長安の条坊と寺院との相関関係に焦点をあて、随唐三百余年にわたるその消長を追求し、仏教文化のみに止まらず、それと政治や社会との関わりの展望については、先学の成果に見るべきものがあるのは勿論である。しかし、長安寺院史の解明は、そこに横たわる幾多の課題を微視的且つ巨視的視点から、生動するコミュニケーションに於て理解することが必要である。根本史料の収集・整理という単純な歴史地理的眼鏡を通じての静的前提のもとに、長安三百余年にわたる寺院の命運を動かしたダイナミックな力とは果していかなるものであったか、また、我が国との関係をも含めた上で、長安仏教文化の東アジア史上に於ける巨視的意義付け等、引き続き究明し続けなければならない重要な課題である。
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