1.本文のデータ化仕様の作成 「玉麈抄 は、左右の付訓、朱引、圏点、送り仮名と捨て仮名、一・二点等、複雑極まる補助符号を持って居り、これを線条的に計算機のデータとして翻刻するには、特別の方策が必要である。この為、これを可能とする様なデータ形式を暫定的に定め、それに従って巻一の翻刻を行った。この過程で仕様の規定不十分な点が多々発見され、逐時仕様を修正した。しかし、特に漢文部分の反読と、二系以上の訓法が併記されている場合の扱いに就ては、明快な解決法を取る事が出来ない状態であり、次年度以降の研究課題として残されている。 2.巻一の入力 上記翻刻に基づき、専門入力業者に依託して巻一の入力を行った。この過程で発生した誤入力から、誤りの少い入力を得る為のノウハウとして、紛わしい文字の置換、難字のJISコードの併記等が得られた。これは、今後の作業継続にとっても有用なノウハウである。 3.処理用ソフトウエアの開発 1のデータ仕様を受け入れ、索引等を開発するソフトウエアを開発した。言語としては、一貫してCを用いた。この為、開発・テストには専らマイクロコンピュータを用い、最終的な実行のみを大型計算機で行った。この過程で、コンパイラ・【O!-】Sの相違に左右されない互換性の高いソフトウエアの作成法の知見が得られた事は、本研究の大きな成果である。但し、現行のソフトウエアは、初期値の設定法等に、やや問題を残しているので、次年度以降更に洗練された形へと改訂を続けたい。
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