研究概要 |
平曲の伝書類とは, (1)平曲の指南書の類 (2)當道関係資料 の二種類の資料を併せたものと考え, 全伝本を総合的に調査するというのが本研究の目標であった. これまでの成果として次の点を報告する. 1.調査すべき伝本の3分の2を, 実物に当たるか, その複写を入手するかのいずれか(両方を実現した場合が大半であるが)によって, 所在, 書誌などの確認作業を行なうことができた. 2.當道関係資料のうち, 最も中心的な書である『當道要抄』も同書)については, 旧来の見方を是正し, その善本を翻刻紹介することができた. 3.平曲伝承にかかわる中心的な書として『平家勘文録』『當道要集』『西海余滴集』『追増平語偶誤』の位置付けを行ない, 平曲伝承の実態に関する歴史的な展望を行なった. なお, 将来の課題として, 次の点をあげることができる. 1.『平家勘文録』の再検討, 2.『平曲問答集』の検討, 3.『當道大記録』と『當道要集』『古式目』『新式目』との関係究明, 4.平曲譜本中の書き込み等を中心とした資料収集と, 平曲伝承の実態究明, 5.雅楽関係資料の中における平曲関係記事の検討, など.
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