研究概要 |
研究課題に添って、今年度は、技術革新による各産業部門別投入係数の変化の実態と、それを予測する理論モデルの開発を行なった、とりわけ、OA化を投入係数に反映させる方法について、産業連関表の作成担当官庁である通産省に対する聞き取り調査をふまえつつ、産業構造の変化にかんする実証分析を試みた。 この研究によって得られた成果の主要論点は、以下の通りである。 従来、技術革新による投入係数の変化を計量的に明らかにする手法としては、R.Stoneによって開発された RAS法をはじめとして、誤差ミニマム法、RECRAS法、制約條件付誤差ミニマム法など、いくつかの方法が、定式化されていたが、本研究では、これらの手法による投入係数の変化予測の精度について明らかにした上で、2段階RASニラグランジュ法を定式化し、予測精度が著しく向上するという結果を得た。この成果は、"An Empiricalstudy on Non-Survey Forecasting of the Input Coefficient Matrix in Leontief Model"(Economic Modelling.Vol.4 No.2,1987,April)に発表した。 他方、この研究費補助金によって購入した図書(W.W.Leontief and others"The Future Impact of Automation on Workers")によって、アメリカ合衆国における同種の研究についての成果も参照しつつ、技術革新が、とりわけ産業調整期における日本の産業構造に与える効果についての実証分析を試みた。
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