研究概要 |
本研究は2年を目止に計画され, 昭和61, 62年度に補助金を受けて行われたものである. 成果の詳細は様式1の「研究成果報告書」に記載されているがその概要を以下の通りまとめることができる. 研究は多変量解析と推測法を主とするM班と, 実験計画の構成を主とするD班に分かれて平行に進められ, 定期に会合して情報の交換, 検討, 討議を重ねてきた. M班関係の成果としては, 共分散行列に関する基礎仮定とデータとの適合度の検定法を開発し従来の実例に見られる誤りを正した. 母共分散行列が異なる場合に平均ベクトルの比較する困難を克服する一つの方法として提案されたヘテロセダステイック法の多次元化に伴う種々の問題(分布, 推測法, 統制量の具体的構成, 2段階抽出に伴う標本サイズの平均分散など)を解決した;因子分析における不適解の生ずる原因を理論面, 数値実験により共分散行列の構造と因子数と関連させながら系統的に攻究すると共に, 実際応用のための対処法の改善も提案した; 対数正規分布, 一般化された対数正規分布における母数の最小分散不偏推定量およびその分散を具体的に評価した;さらにこの手法を定常対数正規過程に広げ, 自己共分散行列, 自己相関係数の不偏推定問題を論じその性質について種々知見を得た. D班関係の成果をまとめると:部分釣合一部実施計画の基盤である部分均斉配置の存在条件および構成法;ブロック計画で半正則群に分割可能な計画を巡回的に構成する方法とその存在条件;釣合不完備ブロック計画の一般化であるグラフ計画に対して計画の点の個数に関する構成を帰納的に逐次に行う方法;ブロック計画に対するγ-相補性の概念を一般化しその適用条件およびある種のブロック計画の構成. 以上が主要な成果のまとめである. 将来への新しい問題も出てきているが本研究の計画は一応の目的を達したと思う. 補助金による助成に感謝したい.
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