1.瀧川は、明治2年10月以降の郵便貯金特別会計、資金運用部の変遷をまとめた。 2.瀧川は、利潤ゼロ制約下の郵貯額最大化、いわゆる「郵貯の巨大化」を達成しようとする郵貯の行動が金融政策の有効性にどのような影響を及ぼすのかを検討した。 3.広江は、公的金融研究の一環として公的金融による実物面への影響を研究した。その特徴は国債発行による政府支出の有効性に関する議論(クラウディング・アウト論争)の中で重要な役割を演じる資産効果(直接的資産効果、間接的[利子誘発的]資産効果)にとくに焦点をあて、それを含むIS-LMタイプのマクロ経済モデルをベースにした理論分析であることである。まずはじめに資産効果を含む調整ラグ・モデル下での政策効果を検討することにより、資産効果の経済的影響を理論的に考察した(『大阪商業大学論集』昭和61年12月掲載)。 つぎに公的金融の仕方(マネー・ファイナンス、ボンド・ファイナンス)による経済的インパクト(対国民所得水準、対国際収支等)に関して、資産効果を含む開放モデルをペースにした固定相場制システムおよび変動相場制システムのそれぞれのケースのもとで、短期の比較静学および動学分析を行なった。 そしてこれら一連の研究から、公的金融が資産効果を通じて政策効果に大きく関係すること、また公的金融の仕方がこれとの関連で問題となることなどが指摘された。
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