情報化・ソフト化して行く社会にあって、ハイテク産業の代表としてNTTを選び、そこに働く若年労働者の意識を「新人類調査」として調査し、また鍍金産業を代表する中小規模経営の円高不況下の若年労働者の意識調査をして、両者を対比することにした。この調査の過程で、研究者は、鍍金産業調査に関連して、洋傘製造業のNICS進出経営体の、とりわけ中小規模経営体の、破産又は解散例を知り、いわゆるブーメラン効果の激烈な例を知った。又、大阪府商工部円高対策室、大阪府立商工経済研究所、大阪商工会議所、大阪市立工業研究所等の御協力も得た。研究者は、さらに、大阪府下円高不況指定の特定地域たる泉南5市2町における繊維産業地域の例を見学し、今回の円高は、単に構造不況としてでなく、関西の経済的な地盤沈下の実態と、東京地区への集中化の過程を痛感した。 これらの調査の収集と分析の前でも、研究者は、いまは、好況産業であろうと不況産業であろうと、どの業種態様であるにかかわらず、労働者たちの雇用不安と経営体のさきゆきの不安定さへの不安が強いことを、知った。これらについての研究発表・その他成果報告については、本研究課題は2年度計画で行うこととなっているので、最終年度にまとめることとする。
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