研究概要 |
1.研究計画に示したように、日本の電卓業界の企業行動を技術開発を中心に多変量解析で分析するのが、我々の課題であった。60年度末に電卓メーカー17社(過去生産経験のある会社も含めて)に"電卓アンケート"を送付したが、ほとんど解答を得られなかった。そこで、"技術開発アンケート"を作成し、61年4月、ICメーカー90社に送った。これも解答が少なく、7月拡大して、電気機器メーカー274社にアンケートを送った。得られたアンケート結果をもとに多変量解析を実施した。知見の一つとして、数量化理論【II】類において、外的基基準(説明変数)"研究テーマの最重要点"に大きい影響を与えている説明変数を選び、外的基準のカテゴリーである研究,開発と説明変数の各カテゴリー間の関連をみた。その結果、研究テーマで研究に重点をおいている企業と開発に重点をおいている企業の行動特性の違いを抽出できた。又、数量化理論【III】類を用いて、技術開発を分析する視点として、開発【←!→】応用研究,マーケティング【←!→】製品化という2つの軸を確認できた。 2.『電卓業界における寡占3社の企業行動ー技術開発を中心としてー』を書いた。カシオ(株),シュープ(株),キャノン(株)3社とも電卓事業でエレクトロニクス技術を蓄積し、さらに拡電卓化という方向で成長しており、各社の技術的発展動向を歴史的に追い、最近の海外生産の意味づけをも試みた。 3.電卓に関する購買要因の分析を大学生を対象としたアンケート調査で多変量解析的に分析した。文系学生が価格,メーカーを重視し、理系学生が機能を重視して購買していること、又、キャノン(株)の製品は機能を重視して選択されていることが判明した。 4.研究分担者の一人本岡が、日本商品学会で2度、電卓事業の国際展開について報告した。本岡は、62年度、さらに商品学会の国際学会でも報告の予定である。
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