1 企業会計制度の形成史に関する文献の収集・整理・分析を行った。この過程で、戦後の企業会計制度は、アメリカの会計思想及び会計慣行を採り入れた企業会計原則を軸に形成されたこと、とくに商法および法人税法ならびに公会計基準(関係法規を含む)が企業会計原側を大幅に採り入れたことを文献的に考証した。もっとも、このような企業会計原則の制度的指導性は、昭和36年の商法改正及び商法計算書類規則の制定を契機として急速に低下し、商法の制度的優位性がとみに強まってきており、このことについても各種の文献・資料等によって考証した。2 研究代表者・新井は、日本会計研究学会の特別委員会(「企業会計原則と商法計算規定の研究 )の委員長として、昭和61年9月から、企業会計原則の歴史、その評価、その見直しの必要性等について共同研究を行っているが、この研究も本科学研究費補助金による研究ときわめて密接に結びついており、非常に有意義なものとなっている。例えば、企業会計原則と商法との関係、企業会計原則と証券取引法との関係、会計規定に関する商法と証券取引法との関係などを制度史的に研究するうえで、上記の特別委員会における共同研究は非常に有意義であり、関係学者等から貴重な意見を聴取した。3 本年度は、早稲田大学本部図書館、同法学部及び商学部教員図書室における関係文献・資料の調査を行い、主要なものについては複写のうえ製本・ファイルを行った。なお、福島大学経済学部に出張し、同様の作業を行った。
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