研究概要 |
申請書に記した研究目的のうち、1番目の余次元1の葉層構造芽の問題に関しては、フランスDijion大学のCerveauの共同研究を行い、申請者が先に証明した有限既定性定理を応用することにより、ある種の葉層構造芽のmoduli空間の有限性を証明した。また申請者の方法を用い、葉層構造芽の積分因子に関する種々の考察を行った。 2番目の研究目的に関しては、偏微分方程式論において大きな変革をもたらした。D(線型偏微分作用素の芽の層)-加群の理論を(大域的)複素解析的葉層構造の特異点の研究に用いることを試みた。これは研究実施計画に記したNash改変を考える代りに余法空間(conorwal space)を考えると自然に必要となってくるものである。一般に複素多様体上の(特異)葉層構造は接層の積分可能なcoherent部分層として与えられ、それに付随した自然なD-加群(法方向の偏微分作用素)が考えられる。これに対に種々の不度量を考えたいわけであるが、このD-加群はいわゆるholonomic子系とはならないので、たとえば柏原の局所index定理のようなものは、そのままでは意味をなさない。ところがMalgrange,Angeniol-LejeuereによるD-加群のRiemann-Rochの定理を用いると、大域的なindex定理を得る。これを種々の場合に適応し、興味深い結果を得た。
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