本研究の目的は微分幾何学的方法で、各種のトポロジーの研究を行うこと及び、トポロジーの手法で、幾何学の問題に新しい成果を得ることであった。このような目的に関して、次の様な成果が得られた。 1.オイラー空間のスティーフェル・ホイットニイ特性類に関して、リーマン・ロッホ型の定理が一般に成立つかというハルペリン予想の反例を先に与えたが、それが法束の条件を与えると成立することを示した。更に部分空間の間の特性類の関係についても、いくつかの興味ある関係式が得られることが、分った。 2.リーマン多様体のすべての点での切最小軌跡の半径が一定の時ブラシュケ多様体といい、それが階数1の対称空間と等距離同相であろうというのがブラシュケ予想である。コホモロジー環が複素射影空間と等しい時に、位相的には予想が成立することを先に証明したが、コホモロジー環が、四元数射影空間と等しい場合に、予想に関連するいくつかの事実を発見した。 3.二階の線型常微分方程式系の基本解の大域的な挙動に関して、解がすべて、周期的な場合、一階の方程式系とは全く異なる現象が表われることを発見した。それは、径数空間のコホモロジーに価を持つ特性類の消滅という形で述べることが出来る。証明には、モースの理論と、熱方程式の解析的な理論が用いられる。 4.他大学の研究者との研究連絡が効果を生み、共著の論文いう形で発表されたものも複数ある。 なお、この研究は、名古屋大学教養部においての引き続いての研究で完成させる。
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