研究概要 |
年度半ばに、海外出張による代表者の交代で、特に作用素環論の分担者であったことにより、研究方針の変更が余儀なくされた。新代表者の佐藤は線形作用素による関数近似が専門で、特に、代数多項式による関数近似に於ける同値定理,近似度の評価を主に調べている。 本年度は関数の2階の階差に変数のパラメーターを導入した評価式(拡張された連続率)を用いて、一様近似の近似度の評価とその飽和定理を求める問題をテーマに研究した。考える作用素を指数型作用素としたとき、仮定として必要とされている条件をかなり弱めることが出来た。具体的な作用素への応用例と合わせて、その主な結果は、10月に弘前で開かれた実解析セミナーで報告した。残された問題点としては、作用素の2階微分の評価式の一つが、指数型の各作用素に依存していることで、作用素を級数型とすること等で簡単な形にすることは出来たが、より包括的な形での評価式を設定することが課題として残った。 当初の計画にはなかったが、NECのパーソナルコンピューターを購入し資料や書籍類のデータ・ベース化を計った。この機械の導入により文献,データの検索が非常に便利となり、必要とされる雑誌や書籍等に関する情報が短時間で得られ、時間の節約になると共に、今後の研究にも長く役に立つものと思われる。また、次年度の課題となったが、パソコンによる近似度の評価と言う問題も生まれて来た。純粋数学での関数近似でも、計算機を用いた結果の報告は今までに幾つか在ったが、近似度のおおよその評価を求めることは、理論的評価と合わせて興味のあるテーマだと思う。 作用素環論,作用素論に関連する研究は、分担者の海外出張により満足できるものは得られなかったが、来年度の帰国を持ち、重点的に進める予定である。
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