n次元リーマン多様体Mに対して、p次のロイデン代数をApであらわす。Apに対応する理想境界を構成し、その調和境界をΔpであらわす。Δp≠ΦのときApのロイデン分解が成り立つことを得た。すなわちApの任意の関数fはポテンシャル関数とp-調和な関数との一意的な和としてあらわされる。以下に主な成果を記載する。 (1) p-調和関数に対する最大値の原理が成り立つ。すなわち、p-調和関数はΔp上で最大値および最小値をとる。さらに、準線型楕円型偏微分方程式で、その構造定数が有限正なものに対する解もやはり最大値および最小値をΔpでとることを得た。すなわち、この方程式に対して新らたに理想境界を構成する必要はない。 (2) つぎに、Δpの構造について述べる。p≠nの場合Mの体積が有限かどうかに従ってΔpの構造の間に大きな差異が生ずるが、p=nの場合には差異が生じない。 (3) 上記の研究成果を利用して、擬正則写像の研究を行った。この研究を通じて、正則関数の2次固有の性質を得た。 今後はΔpの構造を十分詳しく調べることにより、p-調和関数のなす空間の研究や、リーマン多様体の構造、リーマン多様体からリーマン多様体への擬正則写像の研究を進めたい。
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