研究課題/領域番号 |
61540104
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
笠原 皓司 京大, 教養部, 教授 (70026748)
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研究分担者 |
上田 哲生 京都大学, 教養部, 助教授 (10127053)
河野 敬雄 京都大学, 教養部, 助教授 (90028134)
宇敷 重広 京都大学, 教養部, 助教授 (10093197)
浅野 潔 京都大学, 教養部, 助教授 (90026774)
西和田 公正 京都大学, 教養部, 助教授 (60093291)
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キーワード | ホイヘンスの原理 / ウラソフ・マックスウェル方程式 / ボルツマン方程式 / ローレンツ系 / ハウスドルフ次元 / ペアノ曲線 / スタイン領域 / コンファイナ |
研究概要 |
本研究の主な内容は、各種の微分方程式の解の挙動の研究、およびその周辺問題として、確率過程の見本関数の研究と多変数解析関数の性質の研究である。本年の研究成果の概要を述べると、線型偏微分方程式の範囲では、波動方程式に対するホイヘンスの原理と測地線にそう解の挙動の研究がある〔1]。次ぎに非線型方程式では、プラズマの密度分布の変動を記述するウラソフ・マックスウェル方程式の初期値問題に対する時間的局所解の存在と一意性を示した〔2〕。また、この方程式において光速を無限大にした極限として得されるウラソフ・ポアッソン方程式の時間的局所解が、もとのウラソフ・マックスウェル方程式の解の極限として得られ、光速無限大の近傍での解の漸近展開も示された〔3〕。ボルツマン方程式に関しては、遅い定速度で動く凸物体の周りの気体分子の運動について、第一部でその存在を示した定常解が、時間無限大のときの漸近安定解であることを示した〔4〕。一方、カオス的な挙動を示す常微分方程式の解の研究としては、強制ローレンツ系において、従来のアトラクタの概念を単純化したコンファイナの性質を調べた〔5〕。次ぎに、確立過程論に関連した研究としては、弱い意味の自己相以確立過程の道の、グラフとしてのハウスドルフ次元を決定した〔6〕。また、ぺアノ曲線の座標関数の性質を一般化した自己アフィン関数を定義し、微分不可能性その他の性質を調べた〔7〕。つぎに、多変数正則関数に関連しては、φを不動点とする正則写像とその反復の挙動が研究され〔8〕、セグレ錐の場合に正則領域・スタイン領域の問題が研究された〔9〕。以上述べたように、本研究の内容は多岐にわたるとともに、いずれも現在世界各地において活発に研究が行われている一線の分野における成果であり、今後の一層の発展が期待されるテーマである。
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