研究概要 |
(1)係数がパラメータεを含む確率過程である放物型方程式の初期値問題に対してεをoに近づけたとき、解が平均方程式(係数を平均値でおきかえたもの)に確率収束する事および平均値との変異を規格化すると極限確率過程は確率偏微分方程式で記述される関数に値をとる確率過程に収束することが証明できる。 (2){F(xn)}が平均Oの混合型確率場であるとき【X_(n+1)】=【X_n】+εF(【X_n】,n+1,ω)+O(【ε^2】)(ε→0)で記述される離散パラメーターの確率系列に対して拡散近似を証明した。従来の結果より確率場の有界性に関する仮定を弱める事ができ、又証明の簡単化がなされた。 (3)確率微分方程式によって定義される確率力学系の極限定理を総合的に研究した。これによって従来独立に研究された次の諸問題を統一的に取扱うことができた。a)確率微分方程式の近似定理,b)強混合性をもつ確率常微分方程式の解の漸近的性質,C)パパニコラオ,ストルーク,バラダーンによるdriven processの極限定理。 (4)等角拡散過程のharmonic measureの台を、その過程を特徴付ける対称測度と(n-1,n-1)形カレントを用いて表現した。これを用いて複素モンジュ=アンペル作用素に対する最小値原理の考察を行った。 (5)コンディショナル=マリアバンカルキュラスの手法を用いて、システム過程の観測過程に対する条件は確率の滑らかさを議論した。従来のギルサノフ変換の適用出来る場合に加え、ギルサノフ変換の適用しえない場合においても、滑らかさを得た。
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