研究概要 |
幾何学的対称性を平行移動の操作を考慮に入れずに記述する点群といわれている32個の群がある。それらは定点0を通る軸による回転及び定点0についての反転からなる有限群である。点群は結晶の形態を記述する際にもちいられる。点群における対称操作に平行移動の操作を組み合わせたものが空間群であり、各空間群は32個の点群のいずれかにもとずいて構成されている。本研究においては先ず点群についての統計的分布を議論した。結晶の対称性についてのデータを物理的,化学的な性質を考慮し、同一のモデルで議論しうるように分類する必要がある。Nowacki等は構造の知られている結晶について分類し、それぞれに属する結晶の個数を示した。本研究においては彼等の分類における酸化物と水酸化物の結晶からなる分類【III】について各点群についての頻度分布(表1)を議論する。多く存在している群は群として生成されやすいと考え、生成されやすさということについてのモデル化をこころみた。計算機シミュレーションを行いデータと比較した。計算機シミュレーションによらずに遷移確率行列をもちいて数値計算を行った。また行列の固有値を固有ベクトルをもちいる方法による数値計算も行った。このことにより様々なモデルを短い計算時間で議論することができるようになった。今後の課題である230個の空間群について議論する準備がととのったのでさらに研究をすすめて行きたい。
|