1.フーリエ分光器の改良 (1)望遠鏡からの光束を分光器に導けるよう、分光器の光学系に反射鏡を追加した。 (2)この分光器はビームスプリッターとしてワイヤーグリッドを用いたマーチン・パプレット型としてのみ使用していたが、新たにマイラーフィルムを用いたビーム・スプリッターを製作し、マイケルソン型としても使用できるようにした。 (3)検知器として使用するボロメータは応答速度が遅いため、分光器の可動鏡の駆動速度を遅くした方が感度が上がる。しかし、駆動を遅くするためには駆動系の大幅な変更が必要であることがわかったため、とりあえず駆動回路の定数の調整のみで可能な範囲にとどめることとした。この結果、駆動速度は3mm/秒から2.5mm/秒になった。 (4)データ処理に用いているパーソナル・コンピューターに、ハードディスク装置、BASICコンパイラ及び実数演算ボードを導入し、測定の効率化を行なった。この結果、高速フーリエ変換等のデータ処理速度は約4倍向上した。 2.試験観測 実際の天体観測は、使用予定の望遠鏡自身の整備が遅れているため、まだ実現できていない。しかし、望遠鏡なしで、太陽光を直接分光器に導き、地球大気中の水蒸気による吸収線の強度を測定することができた。これは、今後天体を観測するときの良い参考資料となる。業績の発表は、実際に望遠鏡を用いた観測を行なったのちにしたい。
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