研究課題/領域番号 |
61540183
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
松田 卓也 京大, 工学部, 助教授 (20026206)
|
研究分担者 |
武田 英徳 京都大学, 工学部, 助手 (80026343)
桜井 健郎 京都大学, 工学部, 教授 (30025837)
|
キーワード | X線パルサー / スピンアップ / スピンダウン / 近接連星系 / アクリーション |
研究概要 |
空間精度が2次のOsher風上差分法を用いて、天体物理学上のさまざまな問題に応用した。 その一つとして近接連星系内のコンパクト星へのアクリーション流の数値シミュレーションがある。 X線パルサーとして20あまりの天体が知られているが、これは近接連星系内にある中性子星だと考えられている。 規則的なパルスを放出するのは、中性子星が回転しているからである。 この回転周期を観測すると、それが速くなったり(スピンアップ)遅くなったり(スピンダウン)することがある。5つばかりのX線パルサーは規則的なスピンアップを行なっているが、これは伴星から降りつもったガスでできたアクリーション円盤によるものと考えられている。 ところがある種のX線パルサーはスピンダウンを示すし、スピンアップを示すものも時々スピンダウンを示す。 これは伴星からの星風によるものと考えられている。 ところが既存の理論では星風が中性子にもたらす角運動量は正か0であり、スピンダウン現象は説明が難しい。 われわれの数値計算は、連星系の回転面に限定し、比熱比Γが5/3の場合と4/3の場合を調べた。 星風の原因は伴星の表面のガスが熱的に膨張するからと仮定した。 Γが5/3の場合、伴星表面のガスの音速Coが1〜1.4の場合はユニークな解が求まらなかった。ここで速度は系の代表速度AΩで規格化している。 Co=1.5の場合は逆回転するアクリーション円盤と、それを囲むバウ衝撃波を得た。 これはスピンダウンをもたらす。 Co=2.0の場合は、バウ衝撃波が時間的に変動し、中性子星にもちこまれる角運動量は正負に変動する。 この変動はかなり不規則なものであった。 Γ=4/3の場合も同様な変動があった。 このことは、スピンアップとダウンが非常に短かい時間スケールでランダムにおこることを意味する。 観測的にはVela X-1と4U1538-52で、そのような現象が発見されている。
|