研究概要 |
アクリーション流及び関連した問題の数値シミュレーションを行った. 近接連星系内のアクリーションには, ガスの角運動量の大きさによって, ロッシュ・ローブ溢れ流になる場合と星風によるアクリーションの場合がある. われわれは前者の場合にはアクリーション円盤の上に渦状の衝撃波が発生することを以前から主張しているが, 今回の研究ではドイツのSpruitの求めた解析解とわれわれの数値解を比較してよい一致をえた. それによれば渦のピッチ角とガスの比熱比の間には一定の関係があり, 比熱比が小さいほどピッチ角も小さくなる. またある場合には, 粘性がなくてもアクリーションが起こりうることを示唆した. アクリーション円盤の問題と関連して, 銀河の渦状腕の問題も研究した. われわれの見解では, 銀河の渦状腕ができる理由は, 動力場が軸対象からずれていることにある. アクリーション円盤で渦状腕が発生するのも, これと同じメカニズムであるというのが, われわれの主張であり, それを指示する結果をえている. また, 星風的アクリーションのシミュレーションも行い, コンパクト星にたいする角運動量の持ち込みを研究した. その結果流れは非正常で, 持ち込まれる角運動量の符号は時間とともにランダムに変動するという, 予期しない結論をえた. この結果は最近, 米国で行われたTaam & Fryxcellの膨大な数値シミュレーションによって確認された. もしこの解釈が正しいとするとコンパクト天体のスピンアップ・ダウンの問題に対する全く新しい認識が生まれる. それは観測とも良い一致を示す.
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