研究概要 |
1)[スカーミオンとしての核子の定量的研究] 当初、口一中間子を結合させたカイラルタイプの改良スカーム模型を用いれば、核子の諸性質は定量的に20%以上の精度で説明できるとの予想を立て、この研究を始めた。しかし、この改良模型では計算機で決めるべき関数の数が格段に増え、問題は急激に難しくなった。色々と計算手段等を改良したが、25%以上の良い精度の結論は得られなかった。スカーム模型の定量的限界と考えられる。 2)[Gev領域における準安定トポロジカルソリトンの研究] 最近、1.5Gev付近に主として口一中間子に崩壊する励起が実験的に見つかっており、これが我々の予測する準安定ソリトンではなかと、期待している。これを実証するために、準安定状態が量子論的トンネル効果で崩壊する過程の研究を行った。来年度は、それに伴う粒子の放出機構を研究したい。 3)[プランクスケールに於けるトポロジカルソリトンの研究] 素粒子の最終理論は超弦理論である、と考えられている。トポロジカルソリトンの研究の一環として今年度は、26次元の単純なボーズ絃より超弦理論を構成するフェルミオン、ゲージ粒子、ゴースト粒子を導き出す問題をとりあげた。先ず、ゲージ粒子を導き、この機構においてトポロジカルソリトンが決定的な役割を果たしている事を示した。次いで、トポロジカルソリトンの空間には不定計量を導入する自由度がある事を示し、SO(9,1)フェルミオンを構成した。更にコンフォーマル・ゴースト粒子を求め、その表現を詳わしく研究し、超対称性の代数構造を論じた。さてSO(9,1)フェルミオンと超コンフォーマル・ゴーストの自由度だけでは、コンパクト化したボーズ弦の16次元自由度の全てを尽くしておらず、残りの自由度を除く機構が末だ不明である。来年度はこの問題を解決したい。零計量を持つトポロジカルソリトンとして取り除けると予測している。
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