研究概要 |
本補助金61年度交付は申請書の「本年度の研究実施計画」に記載した計画((1)から(4)まで)を、(3)を除いてほぼ実施した。計画(1)で作成した殻模型コードを使用して計算した結果を論文にしたものが、11に記載の発表論文リストである。得られた結果をまとめると次のようになる。 (イ) 【^(71)Ga】の基底状態から【^(71)Ge】の励起状態へのガモフ・テラー遷移強度を計算し、太陽ニュートリノの捕獲確率を計算し、その有効相互作用依存性を調べた。【^(71)Ge】の低い状態のエネルギー,ベータ崩壊確率の実験値を使って、【^(71)Ge】の励起状態への遷移が太陽ニュートリノ捕獲確率に与える効果をみつもった。5〜9MeVへのガモフ・テラー遷移を無視し得ないことがわかった。全捕獲確率が約130SNVで、そのうち上記の高い励起状態からの寄与はそれの約16%をしめる。一番下3本の状態に対する情報を実験値でおきかえているので、相互作用依存性はあまりない。 (ロ) 【f_(7/2)】殻の偶一偶核でのM1遷移に対して、軌道角運動量からの寄与M(l)とスピン角運動量からの寄与をM(S)実験的にわけることが最近行われた。それを殻模型によって計算すると次のようになる。【(f-(7/2))^n】配位が低い状態に対しては良い近似になっているが、その配位ではM(l)/M(S)は原子核によらず一定で0.64となる。【f_(5/2)】,【p_(3/2)】,【p_(1/2)】,軌道への一粒子励起配位が残留相互作用により混じることによりM(l)/M(S)比が増加する。実験とも良い一致を示す。軌道角運動量の寄与の大きいものは一番下の【1^+】に集中しており残りの強度は他の【1^+】状態へ分散してしまう。 (ハ) (ロ)の問題で、全M1強度に対してはスピン角運動量の寄与が軌道角運動量の寄与に比べて 10倍以上あるが、Sd殻の【^(20)Ne】では、ほぼ同程度の寄与になるこれは核力の性質からLS結合が良く成り立ち空間対称性の良い状態が一番下にくるためである。
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