研究概要 |
(1)神岡核子崩壊実験施設で得られるデータ解析用プログラムを高エネルギー物理学研究所の大型計算機(HITAC)に移植する作業を行ない, 1987年7月に完了した. (2)これらの解析プログラムを用いて, 高エネルギー, ミューオンの荷重比と偏極度の測定を行っている. (3)神岡検出器で得られた膨大な生データの中から, 検出器内部で停止した宇宙線ミューオンと, その崩壊により放出された電子の信号を効率よく選択収集するためのプログラムを作製し, 現在までにおよそ2万例を確保した. (4)このデータの解析により, ミューオンの荷重比はN(JKμ^+)/N(μ^-)=1.34と得られた. この値は, 磁石を利用した測定例(東京大学宇宙線研究所などによるMUTRONの結果, 米国ユタ大学による測定)と一致している. この結果は, 1987年秋ノ日本物理学会において報告した. ミューオンの偏極度の測定はミューオンがパイ中間子またはK中間子から生じたのかを決定するために重要な物理量であるが, 電子の放出方向決定のためのプログラムの開発, 改良を行っている. 低速電子による微弱なチエレンコフ光のため, ADC, TDCで得られたデータを有効に活かすべく努力している.
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