8379例の神岡検出器内で停止した宇宙線ミューオンの崩壊を解析した。これは361日分の稼働時間相当の観測時間にあたる。 この8379例のμーe崩壊事象は電算機により、オンラインで選択された。これらについて空間再構成を行い、μの進行方向に対する崩壊電子の角度分布を求めた。また、μ事象からe事象までの時間差分布からμの崩壊曲線が得られた。これからμ^+/μ^-比は1.3±0.10と得られた。角分布からμ偏極Pは0.28±0.09と得られた。この偏極の値から、宇宙線μの親の中間子K、πの生成比K/π比は0.31+0.58、-0.31と得られた。この値と加速器による陽子・原子核反応におけるK/π比と比較すると、数TeVの原子核反応で、クオーク・グルオン・プラズマ状態が、生成されたという確証は得られない。
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