研究概要 |
〔I〕.前年度の成果である分裂核に変形効果を導入した拡張Hauser-Feshbach法を重イオン核反応の融合-分裂現象に適用して種々の分析を行った. Z^2/A【less than or similar】30の軽中重核領域の分裂現象は質量分布も運動エネルギー分布も非常に良く再現でき, 本統計模型の有効性が十分に示せた. 更に中間エネルギー領域での重イオン核反応のLight-Fragment放出にも応用してみたが, 統計模型で説明できる可能性が存在することが分った. 〔II〕.Z^2/A【less than or similar】30の重い核の領域の融合-分裂現象では, 本統計模型に運動エネルギー分布は非常に良く再現するが, 軽イオン放出過程と分裂過程の競争を再現することが出来ないことが分った. これは分裂核のPhase-Spaceが予想より大きくなっているためであり, 本統計模型は改良されなければならないことが分った. 〔III〕.従来の回転液滴模型を基礎にした統計模型の再分析をCPSの分裂障壁を用いることで行った. 統計模型の中で軽イオン核のPhase-Spaceを計算するのに今までは液滴模型の結合エネルギーを用いて計算していた. しかし, 測定されている結合エネルギーを用いるとCPSの分裂障壁に補正を加えなくても軽イオン放出過程と分裂過程の競争は非常に良く再現できることが分った. 従って分裂核の確率はSaddle-Point近傍で決定されるという従来の考えで分析出来ることが分った. 〔IV〕.Saddle-Pointで決定された分裂核確率を用いて分裂核の角分布を分析した. Z^2/A【less than or similar】33の重い核ではSaddle-Point模型よりScission-Point模型である本模型が非常に有効であることが示せ q「 今後拡散Hauser-Feshbach模型の内容をより深く分析し, Shell効果も導入して, その有効性を示せると思う.
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