研究概要 |
我々のグループ(私及び本学助手・畑浩之,研修員小川格,及び大学院生・伊藤克美,国友浩)は、昭和60年末から飛躍的発展を遂げ、現在迄に既に非超対称な通常の弦(開いた弦・閉じた弦)の場の理論を世界に先駆けて作る事に成功した。特に閉じた弦に関してゲージ不変かつローレンツ不変な場の理論は未だに我々のものが世界唯一である。 今年度(61年度)に雑誌に発表した我々の成果は次の通りである。 1.通常の開いた弦、閉じた弦の両者に対し、ゲージ不変な場の理論及びゲージを固定したBRS不変な場の理論を構成した。その概要は60年末にPhys.Lett.に発表していたが、詳しい長編の論文を2編Physical Review誌に"Covariant String Field Theory【I】,【II】"と題して発表し、ゲージ不変性などの完壁な証明を与えた。 2.特に閉じた弦の場の理論が、背景計量に全く依存しない相互作用項のみから成る理論-Pregeometrlcal String Field Theory-の形に書き直せる事、又運動を記述するkinetic項は弦の場の真空凝縮の結果生成される事、を示した。 3.我々の理論で計算される物理的状態の散乱振巾が、全く弦の長さのパラメータの選び方に依存しない事を、Actionの対称性を見つける事に依りfullorderで証明した。 4.トーラス上にコンパクト化した場合の閉じた弦の場合、その相互作用バーテックスには特殊なコサイクル因子が必要になる事を示し、その場の理論とゲージ不変性とを明らかにした。 未だ、(1)閉じた弦のモジュラー不変性の問題や、(2)超対称法、ヘテロ弦への拡張の問題、など多くの重要な問題が残っていて、今鋭意研究中である。
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