研究概要 |
木村は4次元時空において、Weylフェルミオンが重力場とU(1)ゲージ場と同時に結合している時のローレンツ異常項をグラフ及びトポロジカルな方法によって求めた。更に6次元空間における共変ローレンツ異常項も径路積分及びトポロジカルな方法で求め、各々の方法による結果を比べた。結果の違いはカウンター項により除去され、異常項を求める種々の方法の整合性を明らかにした。木村はまた速度位相空間及び相空間におけるゲージ場のゲージ変換の生成演算子を求める一般的な定式化の方法を開発した。両空間における生成演子の間の関係をHamiltonヴェクトルの助けによって明らかにした。 藤川はゲージ場及び重力場におけるカイラル異常項を計算するSchwingerの固有時の方法と一次元超対称径路積分の方法との間の関係を調べた。この際に用いた修正一次元径路積分の方法がカイラル異常項を求める最も簡単な方法であることを示した。また、Schwinger項と呼ばれる異常項の現れる機構を系統的に調べた。この際、BRS対称性から生ずるSlavnov-Taylon恒等式が中心的な役割を果すことを示し、この恒等式から直接ヴィラソロ代数を導いた。 久保は径路積分の測度が、時間変数の変換によって如何に変るかを調べ、径路積分の評価に有効な公式を見つけた。以上は、論文として発表した。 ゲージ場の一種である重力場は、その異常項等を通じ、最近の超弦理論や宇宙初期の問題と深い係りを持ち重要な研究対象になって来た。一般研究(C)「初期宇宙と銀河形成」(課題番号61540185、代表者冨田憲二)と共同で、本研究所に於て、昭和62年1月26日から28日迄の3日間、「重力理論と初期宇宙」という研究会を開催した。東京大学,名古屋大学,京都大学,大阪大学等から20名程度集まり、活発な討論が行われた。
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