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1986 年度 実績報告書

スピン偏極光電子分光法による遷移金属および稀土類金属化合物の電子状態の研究

研究課題

研究課題/領域番号 61540223
研究機関群馬大学

研究代表者

菅原 英直  群大, 教育学部, 助教授 (30023724)

研究分担者 永倉 一郎  群馬大学, 教育学部, 教授 (20004327)
キーワード価数揺動 / 稀土類金属化合物 / スピン偏極光電子分光 / 光電子スペクトル
研究概要

シンクロトロン放射を光源として、40eV〜140eVの光子エネルギー領域で、稀土類化合物合金系Ybx【Lui_(-x)】【B_(12)】(X=1,3/4,1/2,1/4,0)の光電子スペクトルを測定した。実測した光電子スペクトルには、【YbB_(12)】に関して【4f^(14)】と【4f^(13)】【LuB_(12)】に関して【4f^(14)】に起因する構造がそれぞれ観測された。特に【YbB_(12)】の【4f^(14)】構造はフェルミ端近傍に出現することがわかった。Ybの組成比が減少すると、この構造の強度は急激に減少し、Ybの平均の価数が+3に近づくことを示している。つまり、この合金系では、特にYbの組成比の大きいところで、【Yb^(2+)】と【Yb^(3+)】の間に価数揺動が起っている可能性が高い。このような事実は、磁気的測定電気的測定および格子定数の測定から予測されていることと定性的に一致する。しかし光電子スペクトルには試料表面とバルクの両方の電子状態からの寄与が重っていることが予想され、実測した光電子スペクトルがそのままバルクだけの電子状態を反映しているとするのは危険である。これを確認するため、【YbB_(12)】の表面を酸素に露した試料について、スペクトルの変化を観測した。酸素の吸着量と共に、フェルミ端上に顕著なステップが現れてくるのが見られ、これがバルクの【4f^(14)】状態であることを予想させる。このことは価数揺動現象にとって本質的に重要なことであり、現在さらに解析中である。
今後、表面とバルクの電子状態に起因するスペクトル構造を、計算機処理によって分離する作業を進めていきたい。また表面には表面特有の電子スピンの配向の緩和現象が期待されるので、スピン偏極スペクトルから表面層とバルクとの寄与を実験的に分離できるものと思われる。さらに4f-4d遷移が起る180eV付近の光子エネギー領域で光電子スペクトルを測定し、そこで観測されると期待される共鳴光電子放出から、フェルミ端に対するYb4f準位のエネルギー位置を同定したい。

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公開日: 1988-11-10   更新日: 2016-04-21  

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