研究概要 |
1.4f電子系(La〜Lu)および5f電子系(Th,Pa,V)について、局所電子密度近似(LSD近似)の枠内で、格子定数および凝集エネルギーの計算を行い、5f電子系ではバンドモデルがよいが4f電子系ではむしろ局在モデルの方が良いことを示した。4f局在軌道として共鳴軌道を選びこれに直交した空間でセルフコンシステントなバンド計算を行うことにより、2価と3価の格子定数の違いをほぼ定量的に説明できること、凝集エネルギーも自由イオンの段階でLSD近似に補正を考りょすればよく理解できることを示した。また4f軌道の準位のLSD近似による計算値と光吸収や光電効果による4f準位の実験値の間の関係を明らかにした。また稀土類金属・アクチナイド金属を含む多くの化合物の電子構造を系統的に計算し、f軌道とまわりのイオンの軌道との混成の行列要素を定量的に調べ、酸化物・硫化物・遷移金属合金等ではf軌道とまわりのイオンのp,d軌道との混成が強く、この効果を取り入れた計算を行う必要がある。そのような計算が現在進行中である。 2.最近注目を浴びている強磁性新物質【Nd_2】【Fe_(14)】B(ネオマックス)の電子構造を明らかにするためにその電子状態をLSD-LMTO法で計算し、その状態密度曲線,6種類のFeイオンの磁気モーメント,磁化の大きさ(30【ll-B】/FU)を明らかにした。またNdの5d電子のスピン分極とFeのd電子のスピン分極が逆向きであるため、Ndのf電子スピンと遷移金属のd電子スピンの結合が反強磁性的であることを明らかにした。 3.C14型ラーベス相Ti【Fe_2】の色々な磁性状態の電子状態を LSD-LMTO法で計算し、(【Sc_x】【Ti_(1-x)】【Fe_2】で観測されている 強磁性→反強磁性転移および強磁性→強磁性転移の機構を明らかにした。
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