スピネル型酸化物Li【Ti_2】【O_4】はTc〜13Kの超伝導体である。そこで、【Li_(1+x)】【Ti_(2-x)】【O_4】(0【<!_】X【<!_】1/3)の試料を合成し、その超伝導特性を検討した。合成した試料の格子定数はXの増加とともに直線的に変化していて、組成はよく制御されている。磁化測定からLi【Ti_2】【O_4】は第二種超伝導体で下部臨界磁場【Hc_1】は700ガウス.上部臨界磁場は80キロガウス以上である。交流帯磁率測定から求めた超伝導体積量はXの増加と共に直線的に減少し、X【>!_】0.15ではゼロである。このことは、Xの増加と共に超伝導を示す部分は減少してゆき、X【>!_】0.15では系は完全に常伝導になることを示している。電気抵抗の測定からは、零磁場下では超伝導転移の始まり温度TcはXの増加につれてほとんど変化しないが、転移の温度幅即ちTcと抵抗ゼロを示す温度との差は、X<0.04では狭く鋭く転移して抵抗ゼロを示すが、0.04【<!_】×<0.10ではその幅は数Kに及びその傾向は磁場を印加してゆくとより顕著になり、たとえばX=0.07のものは75κGのもとでは4.2Kにおいても抵抗はゼロにならない。X【>!_】0.10のものは零磁場でも4.2Kにおいて抵抗ゼロにならず(抵抗の減少は約10Kからはじまる)、磁場を印加してゆくと完全に常伝導状態になり、しかも半導体的挙動を示す。また、抵抗は電流密度に敏感で、X=0.10のものの臨界電流は〜1mAである。ところで【Li_(1+X)】【Ti_(2-X)】【0_4】は(【Li^(+1)】)【〔Li(^1+_X)Ti(^3+_1-3X)Ti(^4+_1+2X)〕】【O_4】と書け、Xは八面体型サイトのTiがX分だけLiとおきかわることを意味する。上述の様な抵抗の変化や、超伝導体積量の変化から、【Li_(1+X)】【Ti_(2-X)】【O_4】の超伝導特性は、スピネル構造の単位胞当り八面体型サイトのTiの1個がLiで置き換えられたものは単位胞分の体積量常伝導になるとして、パーコレーションの考えで説明された。今後、NMRなどによる動的挙動の解明を計画している。
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