1.不整合相転移のランダウ-石橋現象論でエネルギー密度関数に新たに電場項と応力項を導入して停留条件から得られるオイラー・ラグランジュ方程式を変調構造についての周期境界条件下で数値計算で精密に解き複素秩序パラメータや位相、振幅の場所依存性(変調構造)と温度依存性を求めこれよりESRスペクトル密度関数(比熱、誘電率)を算出しESRスペクトルをシミュレートする。この解析法を開発・整備し硫安系強誘電体の不整合相のESRスペクトルを解析している。解析には当該研究費で購入したPC・9800パソコンに数値演算コプロセッサーをつけて計算している。 2.ESR測定データとして$$K_2$$Se$$O_4$$:Se$$O_4$$-ラジカル、$$K_2$$Se$$O_4$$:$$Cr^(3+)$$、$$K_2$$Se$$O_4$$:$$Cu^(2+)$$、$$[N(CH3)4]2$$Zn$$Cl_4$$:$$Mn^(2+)$$、[N(CH3)4]2$$Cu$$Cl_4$$、$$Rb_2$$Zn$$Cl_4$$.$$Mn^(2+)$$等のESRスペクトルの角度依存性、温度依存性、電場依存性を測定しており、一軸性応力印加装置は目下調整中である。これ等のデータを1.で言及した方法で解析中である。 3.一軸性応力印加による強弾性体の分域反転の機構を結晶構造的にも詳細に研究する目的で、中性子回折実験用の一軸性応力印加装置を作りこれを持って86年夏に渡来してアルゴンヌ国立研究所のIPNSの3次元検出器(アンガーカメラ)のゴニオメーターに取り付けLaNb【O_4】、Nd【P_5】【O_(14)】の強弾性ドメインの応力による反転の実験と解析を行った。またESRで一軸性応力による分域反転を確認した。強弾性及び強誘電不整合相転移機構をより明らかにするために、これら純強弾性体の応力による分域反転の研究を中性子回折とESRの両面から研究し、これらの差異の立場からも研究を進める予定である。特にLaNb【O_4】については石橋、沢田により提唱された不整合分域壁の立場からも研究を進める。
|