研究課題/領域番号 |
61540262
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
馬宮 孝好 名大, 理学部, 助教授 (20022600)
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研究分担者 |
三浦 裕一 名古屋大学, 理学部, 助手 (30175608)
岩橋 克聡 名古屋大学, 理学部, 助手 (40022602)
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キーワード | ヘリウム / 量子固体 / 超低温 / 核磁性 / 核磁気相互作用 / SQUID / 断熱消磁 |
研究概要 |
六方稠密相固体ヘリウム3の核磁気相互作用を研究するために、核断熱消磁装置に、超低温で稼動する圧力測定装置および磁化測定装置を組みこんだ。 固体ヘリウムサンプルを製作するために、300気圧まで昇圧加能なガス加圧装置を製作した。六方稠密相固体ヘリウムは、低温で106気圧以上で存在するが、固体ヘリウムサンプルを作製するときの圧力計として、本科研費で購入した精密圧力計を使用して、正確なモル体積を決定した。精密圧力計は磁化測定用サンプルを作製するときにも使用した。圧力セルは感度を大きくするために、圧力検知のためのダイアフラムを直径24mmの大径とした。固体ヘリウムの核磁性を反映する微少な圧力変動を検知する際に、精密圧力計を校正の目的で使用した。140気圧で10マイクロバールの圧力を校正できた。1000ガウス程度の磁場を発生させて、磁場による固体ヘリウム圧力の微少な変化から、核磁気相互作用の符号および性質の知見をえるべく測定を続行している。 磁化測定はSQUID(超伝導量子干渉磁束計)により行うが、断熱消磁用の強磁場にフラックスループがさらされると不安定になるのをさける目的で、新らしい方法としてSQUID素子をクライオスタット最下端にとりつけた。SQUID素子の同調は常温部分の同軸ケーブルを延長し、使用周波数の半波長又は1波長の全長として、感度は本来の場合の50%程度になり、測定上問題とならず、この方法が有利であることが判明した。このような配置で交流磁化率および静磁化を測定することにより、これまで以上に正確な磁化の測定が可能となった。交流磁化を測定するために、渦電流を少なくし、熱はよく伝えるような複合金属からなる磁化セルを製作した。 以上のように超低温における固体ヘリウムの圧力および磁化の測定が鋭意進行中であり、核磁性の知見が出つつある。
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