研究概要 |
「原子ビームのレーザー冷却」を実現しその減速効果を検証するためつぎの実験を行った. (1)原子ビームの共鳴イオン化法. パルス発振斜入射形色素レーザーを製作し, XeClエキシマーレーザー(Lambda Physik社EMG53MSC)により励起した. 原子ビーム発生装置はすでに所有していたものに若干の改良を加えて使用した. 原子ビームにパルス色素レーザー光を照射して発生した電子, イオンを大きなS/N比で測定するために電子, イオンそれぞれの検出器(セラトロン)への飛行時間の差を利用するコインシデンス法を用いた. タリウム原子ビームについては20cm^<-3>, ナトリウム原子ビームについては10^3cm^<-3>の密度まで検出することができた. ナトリウムについての検出感度が低い理由につき検討を加えた. 検出感度を向上させるためセラトロンの前に静電レンズを付加してその有効性を確かめた. (2)共鳴イオン化分光法によるレーザー冷却効果の検出. 連続発振色素レーザー装置を製作した. 色素をジェット状に噴出, 循環させこれをArイオンレーザーで励起した. 発振線幅の狭帯域化のため複屈折フィルターを共振器内に挿入した. その結果波長670nm近傍で0.01nmの線幅を得た. ナトリウム原子ビームに対しては顕著な減速効果は検出できなかった. これはパルスレーザーの出力不足のためと考えられる. リチウム原子については二光子励起によりイオン化した. その結果顕著な減速効果を観測することができた.
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