研究概要 |
前年度においては, 埼玉県北西部の関東山地北東縁を中心に重力測定を実施し, 1931年西埼玉地震(M7.0)の震源断層と思われる一連の断層帯を検出することに成功した. 今年度はこれに引続いて, その南部にあたる地域の重力測定を実施した. 国土地理院2万5千分の1地形図で云えば, 越生, 飯能, 青梅, 川越北部, 川越南部, 所沢にあたる. 前年度と合わせると, 測定点は合計で約1300点にのぼる. 今年度の測定の目標は越生・高麗本郷断層, 名栗断層および立川断層である. 現在のところ, まだ解析が完全になされていないので, 明瞭な結論は出し難いが, いずれの断層もブーゲー異常として把握できたと考えられる. つまりブーゲー異常図の上に断層の影響が現われている. とくに立川断層は首都圏直下型地震と関連して, 近年とくに注目を集めている活断層であり, この断層の調査は急務と考えられている. これまで国土地理院等の重力測定がなされていたが, 測定点の間隔が広いため, 立川断層を重力異常として検出するには至らなかった. 今回の稠密な重力測定によって, これを把握できたことは, 極めて大きい成果と云える. また名栗断層は立川断層の北部延長であるとの考えもあり, 今回の調査でも一連の断層である可能性を指摘することができた. なおこの調査地域には, 上記の諸断層のほかに小手指断層, 所沢霊園断層等が存在する筈であるが, 今回の重力測定からは検出できなかった.
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