前年にひき続き、阿蘇カルデラ地域でのELF、VLFーMTの観測及び、地磁気長周期の観測を行なった。この結果、ELF、VLFーMT観測点は202地点となり、阿蘇カルデラ地域の電気構造の3次元、構造図が完成した。これにより、低抵拡層は温泉湧出の見られる特異点を除いて、中岳火口周辺で浅く、7km地点で海抜0m(地下1km)となる円推状を呈することが判った。これは阿蘇火山の熱源を考察する上で重要なことである。しかし、ELFの可探深度がやや浅くいため、より深い、ULFーMTの結果をまって深い考察を行う予定である。 本年度は特に、長周期インダクション・べクトルの解析に力をおいた。25地点での中、北部九州におけるこのベクトルは、海深分布から期待できる南南西の方向を向かず、南西を向く事実が見出された。この原因を究明するため、薄層電磁誘導モデルを用いて検討した結果、九州西北部の東シナ海の海底下が高温で、電気良導層を形成していなければならないことが見出された。
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